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【中学受験国語】国語問題の正答率が上がる!「問いの中心」を見抜く技術
国語2025.08.14

国語の問題で点数が伸び悩んでいるお子様によく見られる現象があります。それは、「一生懸命答えを書いているのに、なぜか点数が取れない」というケースです。本文もしっかり読み、それなりの長さの答えを書いているにも関わらず、思うような得点に結びつかない。その原因の多くは、実は「何を聞かれているのか」が曖昧なまま解答してしまうことにあります。
今回は、この問題を根本から解決する「問いの中心を見抜く技術」について詳しく解説します。この方法をマスターすれば、解答のズレを防ぎ、確実に得点できる答案が書けるようになります。
なぜ「何を聞かれているか」が曖昧になるのか
1. 問題文を流し読みしてしまう癖
多くの受験生は、早く本文を読みたい気持ちから、問題文を十分に吟味せずに進んでしまいます。しかし、問題文こそが「ゴール」を示す地図なのです。地図を正確に読まずに旅に出れば、目的地にたどり着けないのは当然です。
2. 「なんとなく分かった気になる」心理
問題文を一度読んで「だいたい理解した」と感じても、実際には核心部分を見落としていることがよくあります。特に長い問題文では、重要な部分とそうでない部分が混在しているため、注意深く読まないと本当に答えるべきポイントを逃してしまいます。
3. 思い込みによる解釈
過去に似たような問題を解いた経験から、「この手の問題はきっとこういうことを聞いているだろう」と決めつけてしまうケースも多々あります。しかし、国語の問題は微妙な表現の違いで求められる答えが大きく変わるため、思い込みは禁物です。
「問いの中心」とは何か
「問いの中心」とは、その問題で本当に答えるべき核心部分のことです。問題文には様々な情報が含まれていますが、実際に解答で触れなければならない要素は限られています。この核心部分を正確に特定することが、正解への第一歩となります。
問いの中心の特徴
- 疑問詞に集約されている
「なぜ」「どのように」「何を」「どういうこと」など、疑問詞が問いの中心を示す最重要キーワードです。 - 解答の方向性を決定する
問いの中心を理解することで、「理由を答えるべきか」「方法を答えるべきか」「内容を答えるべきか」が明確になります。 - 採点の重点項目である
採点者は問いの中心に対する回答があるかどうかを最初にチェックします。ここがずれていると、他の部分が正しくても大幅な減点となります。
疑問詞別・解答の方向性ガイド
「なぜ」系の疑問詞
対象となる疑問詞: なぜ、どうして、なんのために、いかなる理由で
求められる解答: 原因、理由、目的
~だから。
~ため。
~が原因で。
~を目的として。
例題分析:
「主人公が友達との約束を破ったのはなぜですか」
- 問いの中心:「なぜ」(理由を問う)
- 解答すべき内容:約束を破った理由
- 避けるべき解答:破った結果、友達の気持ち、約束の内容
「どのように」系の疑問詞
対象となる疑問詞: どのように、いかに、どんなふうに
求められる解答: 方法、手段、様子、変化の過程
~という方法で。
~のようにして。
~から~へと変化して。
例題分析:
「主人公の心情がどのように変化しましたか」
- 問いの中心:「どのように」(変化の様子を問う)
- 解答すべき内容:心情の変化の過程
- 避けるべき解答:変化の理由、最終的な心情のみ
「どういうこと」系の疑問詞
対象となる疑問詞: どういうこと、どのようなこと、何を意味するか
求められる解答: 内容の説明、意味の解釈
~ということ。
~という意味。
~という状況。
例題分析:
「この表現はどういうことを表していますか」
- 問いの中心:「どういうこと」(内容・意味を問う)
- 解答すべき内容:表現の具体的な意味
- 避けるべき解答:表現技法の名前、使われている理由
「問いの中心」に線を引く実践方法
ステップ1:問題文の精読
まず、問題文を2回読みます。1回目は全体の流れを把握し、2回目で詳細を確認します。
ステップ2:疑問詞の特定
問題文中の疑問詞をすべて見つけ出し、それぞれに印をつけます。
ステップ3:最重要疑問詞の選定
複数の疑問詞がある場合は、最も重要なもの(問いの核心となるもの)を特定します。
ステップ4:線引きの実行
特定した疑問詞とその前後の重要部分に線を引きます。
線引きの例:
元の問題文:
「主人公が最後に涙を流したのは、どのような心情の変化があったからですか。50字以内で答えなさい。」
線引き後:
「主人公が最後に涙を流したのは、【どのような心情の変化があったから】ですか。50字以内で答えなさい。」
ステップ5:解答方針の確認
線を引いた部分から、どのような解答が求められているかを確認します。
上記の例では:
- 「どのような」→ 心情変化の様子
- 「変化があったから」→ 理由も含む
- つまり:心情の変化とその理由の両方を答える必要がある
よくある間違いパターンと対策
間違いパターン1:疑問詞の見落とし
例:
問題:「主人公はなぜこのような行動を取ったのですか」
❌ 間違った解答:「主人公は勇気を出して立ち向かった」
✅ 正しい解答:「友達を助けたかったから」
対策: 「なぜ」を見落とし、行動の内容を答えてしまった。疑問詞への注目が必要。
間違いパターン2:複数の疑問詞への対応不足
例:
問題:「主人公がどのような方法で、なぜその選択をしたのですか」
❌ 間違った解答:「一人で立ち向かうという方法で行動した」(方法のみ)
✅ 正しい解答:「一人で立ち向かうという方法で、友達に迷惑をかけたくなかったから」(方法+理由)
対策: すべての疑問詞に対応する必要がある。
実践的な練習方法
練習法1:問題文分析カード
_________________________________
【疑問詞チェック】
□ なぜ系 □ どのように系
□ どういうこと系 □ 何系
□ その他( )
【問いの中心】
_________________________________
【求められる解答の種類】
□ 理由 □ 方法・様子
□ 内容・意味 □ 具体的事物
練習法2:ペア練習
お子様が問題文を読み上げ、保護者様が「何を答えればいいと思う?」と質問する練習方法です。
練習法3:色分け練習
- 疑問詞:赤
- 対象となる事物:青
- 条件や制限:緑
色分けすることで、視覚的に問いの構造を把握できます。
段階別習得プログラム
初級段階:単純な疑問詞に慣れる
- 一つの疑問詞のみの問題
- 短い問題文での練習
- 明確な答えがある問題から始める
中級段階:複合的な問いに対応
- 複数の疑問詞を含む問題
- 条件付きの問題
- 制限字数のある問題
上級段階:応用力を身につける
- 暗示的な問い方の問題
- 記述式問題での実践
- 時間制限内での正確な判断
問いの中心を意識することで得られる効果
1. 解答時間の短縮
何を答えるべきかが明確になるため、迷いなく解答作成に取り組めます。
2. 部分点の確実な獲得
たとえ完璧な答えでなくても、問われている内容に触れていれば部分点を獲得できます。
3. 記述力の向上
問いに正確に答える練習を重ねることで、論理的な文章構成力が身につきます。
4. 自信の向上
「何を書けばいいかわからない」という不安がなくなり、国語への苦手意識が軽減されます。
まとめ:正確な読解は「問い」から始まる
国語の問題で確実に得点するためには、まず「何を聞かれているのか」を正確に把握することが不可欠です。そのための最も効果的な方法が、「問いの中心」に線を引く習慣を身につけることです。
実践のポイント:
- 疑問詞に注目する:「なぜ」「どのように」「どういうこと」などの疑問詞が解答の方向性を決める
- 線引きを習慣化する:問いの中心部分に必ず線を引く
- 解答前に確認する:「この問いは何を求めているか」を明確にしてから書き始める
- 継続的に練習する:様々な問題で練習を積み重ねる
この技術をマスターすれば、国語の問題に対する取り組み方が根本的に変わります。「なんとなく答える」から「確信を持って答える」へと意識が変化し、確実に得点力が向上するはずです。
明日からの国語学習で、ぜひこの「問いの中心」を意識した解法を実践してみてください。きっと、これまでとは違った手応えを感じられるはずです。
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