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【中学受験国語】生徒との対話で印象的だった瞬間:自己分析力が示す真の成長

国語

2025.10.02

【中学受験国語】生徒との対話で印象的だった瞬間:自己分析力が示す真の成長

講師として活動しておりますと、生徒の成長を目の当たりにする瞬間に立ち会うことがあります。それは必ずしもテストの点数が上がった時だけではありません。むしろ、生徒自身が自分の間違いを深く理解した瞬間にこそ、本当の成長を感じることがあります。

ある日の対話

👨‍🏫 私
「どこで点数を落としたと思う?」

👨‍🎓 生徒
「問題は”どう感じたか”を聞いてるのに、”なぜそうなったか”を答えてしまいました」

この瞬間、私は心から感動しました。なぜなら、この生徒は単に「間違えた」という事実を認識しているだけでなく、なぜ間違えたのか、どこがズレていたのかを正確に言語化できているからです。

✨ 自分のミスを客観視して言葉にできる
これって本当にすごい成長

「どう感じたか」と「なぜそうなったか」の違い

国語の記述問題では、問われている内容を正確に理解することが何よりも重要です。しかし、多くの生徒がこの二つを混同してしまいます。

📝 問題の要求と答えのズレ
問題の要求
「どう感じたか」(心情・感情)

間違った答え方
「なぜそうなったか」(理由・原因)

例えば、「主人公はこの出来事にどう感じましたか?」という問いに対して:

❌ 少々ズレた答え:「友人に裏切られたから、悲しく感じた」
→ 原因(なぜ)を説明している
✅ 正しい答え:「深く傷つき、裏切られたという悲しみを感じた」
→ 感情(どう)を直接的に表現している

なぜこの自己分析が「すごい」のか

💡
メタ認知能力の発達

自分の思考プロセスを客観的に見る力、つまり「メタ認知能力」が育っている証拠です。これは学習において最も重要な能力の一つと言われています。

多くの生徒は、テストで間違えたとき「わからなかった」「難しかった」という感想で終わってしまいます。しかし、この生徒のように「問題の要求を取り違えた」と具体的に分析できることは、次につながる大きな一歩なのです。

答案を見直す力が学力を伸ばす

🎯 答案見直し力 = 学力アップの鍵

答案を見直す力とは、例えば単に計算ミスを探すことではありません。自分の思考の癖や勘違いのパターンを発見する力です。

この力を身につけた生徒は、同じ間違いを繰り返さなくなります。なぜなら、表面的な「正解・不正解」だけでなく、間違いの根本原因を理解しているからです。

自己分析力を育てる3つのステップ

1
間違いを受け入れる
まず、間違えたという事実を素直に認めること。防衛的にならず、間違いを学びの材料と捉える姿勢が大切です。

2
「なぜ間違えたのか」を言語化する
ぼんやりと「わからなかった」で終わらせず、具体的に何がズレていたのかを言葉にしてみましょう。書き出すとより効果的です。

3
パターンを見つける
複数の間違いから共通点を探します。「いつも〜で間違える」というパターンが見えてくれば、それが改善のポイントです。

講師として感じること

生徒が自分の間違いをこれほど明確に分析できた瞬間、私は「もう大丈夫だ」と感じます。なぜなら、自己修正能力を身につけたということだからです。

これからも間違いはあるでしょう。しかし、その度に自分で原因を特定し、改善策を考えられる。そんな生徒は、講師がいなくても、自分の力で成長し続けることができます。

テストの点数は確かに重要な指標です。しかし、それ以上に大切なのは、自分の学びをコントロールする力を身につけることではないでしょうか。

すべての学習者へ

もしあなたが今、テストの結果に落ち込んでいるなら、一度立ち止まって考えてみてください。

「どこで間違えたのか?」
「なぜ間違えたのか?」
「次はどうすればいいのか?」

この問いかけができるなら、あなたはすでに成長への道を歩み始めています。点数だけでは測れない、本当の学力が育ちつつあるのです。

答案を見直す力 = 学力アップの鍵

自分のミスを客観視し、言葉にできること。
それこそが、継続的な成長を可能にする最も重要な力です。

✨ 間違いは、成長のチャンス。

小島一浩

小島 一浩Kojima Kazuhiro

早稲田大学法学部を卒業後、塾講師としての道を歩みはじめ、市進学院やサピックスにて中学受験指導に携わってきました。講師歴は20年以上にわたり、御三家をはじめとする最難関校から中堅校まで、幅広いレベルの受験生を指導しております。

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