ブログ

麻布中学校 国語入試問題の出題傾向分析

入試傾向

2025.10.14

麻布中学校 国語入試問題の出題傾向分析

麻布中学校 国語入試問題 傾向分析

麻布中学校の国語入試は「完成度が高い」と評価される、独自の特徴を持った入試問題です。その傾向を詳しく分析していきます。

基本情報

  • 試験時間:60分
  • 配点:60点
  • 合格ライン:36~40点程度(55%前後)

出題形式の特徴

1. 文章題の特徴

麻布中の国語は、基本的に物語文一題構成です。これは他の難関校が論説文や随筆文を増やしている中で、物語文にこだわり続けている点が特徴的です。

  • 字数:平均6000~7000字台の長文
  • テーマ:自立、自由、自分探しなど哲学的なテーマを扱う作品
  • 文章の特徴:私小説風で、家庭環境や人物関係が複雑なもの
  • 内容:少年の成長を描いたものが多いが、近年は女の子の自立や寓話なども出題

2. 設問構成

  • 設問数:12~14問程度
  • 記述割合:60%が記述問題(近年は増加傾向)
  • 漢字:書き取り問題が必ず出題
  • 記述の字数:30~60字程度が中心、最後に100字を超える大型記述

麻布国語の最大の特徴:「つながり」のある設問

麻布中の国語で最も重要なのが、設問が「つながり」を意識した構成になっている点です。前の問題の答えが、次の問題を解くヒントになるという、昔から続く独自の手法です。

この設問のつながりを理解し、活用できるかどうかが、合否を分ける重要なポイントとなります。

問われる内容

麻布中の国語では、以下のような内容が問われます:

  • 心情理解:登場人物の気持ちや心の動きを読み取る問題(中心)
  • 比喩表現:比喩が何を意味しているのかを説明する問題
  • 情景描写:風景描写が暗示する意味を読み取る問題
  • 主題:作品全体のテーマを問う大型記述問題(最後に必ず出題)
  • 象徴的なもの:作品中の風景や動植物が暗示しているものを問う問題

対策のポイント

1. 長文読解力を鍛える

7000字前後の長文を60分で読み、設問に答える必要があります。速読力と正確な読解力の両方が求められます。

2. 設問の連続性を意識する

前の問題の答えが次の問題のヒントになることを常に意識しましょう。一つ一つの記述が、最後の大型記述につながっています。

3. 簡潔な記述力を磨く

30~60字という限られた字数で的確に表現する力が必要です。余計な説明は入れられないため、日頃から答案を推敲する習慣をつけましょう。

4. 哲学的テーマに慣れる

自由とは何か、本当の自立とは何か、といった哲学的なテーマについて深く考える練習をしておきましょう。

5. 最後の大型記述に備える

作品全体の主題をまとめる100字超の記述問題は、麻布国語の代名詞です。それまでの設問で積み上げてきた理解を総動員して答える必要があります。

まとめ

麻布中の国語は、「生徒に読みやすい題材を選び、文章や設問のつながりを通して深く考えさせる」という、完成度の高い入試問題として高く評価されています。

表面的な読解力だけでなく、論理的思考力、推敲力、そして哲学的なテーマについて深く考える力が試される、本質的な国語力を問う入試といえるでしょう。

この傾向を理解し、計画的に対策を進めていくことが、麻布中合格への近道となります。


小島一浩

小島 一浩Kojima Kazuhiro

早稲田大学法学部を卒業後、塾講師としての道を歩みはじめ、市進学院やサピックスにて中学受験指導に携わってきました。講師歴は20年以上にわたり、御三家をはじめとする最難関校から中堅校まで、幅広いレベルの受験生を指導しております。

ブログ一覧に戻る