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【中学受験国語】物語の「涙」を読み解く―複雑な感情と向き合うために

国語

2025.10.30

【中学受験国語】物語の「涙」を読み解く―複雑な感情と向き合うために






物語の「涙」を読み解く―複雑な感情と向き合うために

物語の「涙」を読み解く―複雑な感情と向き合うために

物語を読んでいて、登場人物が涙を流す場面に出会ったことは誰にでもあるでしょう。そんなとき、あなたはどのように読み進めていますか?

実は、物語文で「泣く場面」が出てきたら、そこで一度立ち止まって考えることが大切なのです。

涙には必ず理由がある―でも、それは一つじゃない

涙を流すという行為には、必ず何かしらの理由があります。しかし、私たちはつい「悲しいから泣いている」と単純に考えてしまいがちです。

実際には、涙の理由は一つではない場合がほとんどです。複数の感情が複雑に絡み合って、一粒の涙となって現れるのです。

具体例で考えてみましょう

たとえば、こんな場面を想像してみてください。

迷子になっていた子どもが、ようやく見つかって泣き出した

この涙は、何を意味しているのでしょうか?

  • 怖かったから?
    一人ぼっちで不安だった時間が、ようやく終わった解放感
  • 安心したから?
    知っている人の顔を見て、張りつめていた緊張の糸が切れた瞬間
  • 恥ずかしいから?
    みんなに心配をかけてしまったという自責の念

このように、一つの「泣く」という行為の裏には、さまざまな感情が潜んでいるのです。

複雑な感情こそ、丁寧に向き合うことが大切

物語を深く理解するためには、こうした複雑な感情に丁寧に向き合い、読み取っていくことが重要です。

表面的に「泣いている」という事実だけを追うのではなく、その涙の背景にある心の動きを想像してみましょう。そうすることで、登場人物への理解が深まり、物語全体の味わいも一層豊かになります。

読書をもっと楽しむために

次に物語を読むときは、涙の場面で少し立ち止まってみてください。

「この涙は、どんな感情から生まれたのだろう?」
「一つの理由だけじゃないかもしれない」

そう考えながら読み進めることで、あなたの読書体験はきっと今までとは違ったものになるはずです。

物語の中の涙は、登場人物の心を映し出す鏡。その鏡をじっくりと覗き込むことで、人間の感情の豊かさと複雑さに触れることができるのです。


小島一浩

小島 一浩Kojima Kazuhiro

早稲田大学法学部を卒業後、塾講師としての道を歩みはじめ、市進学院やサピックスにて中学受験指導に携わってきました。講師歴は20年以上にわたり、御三家をはじめとする最難関校から中堅校まで、幅広いレベルの受験生を指導しております。

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