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【中学受験国語】国語の線引き – 「なんとなく」から脱却する方法

国語

2025.12.03

【中学受験国語】国語の線引き – 「なんとなく」から脱却する方法

国語の線引き – 「なんとなく」から脱却する方法

国語の読解問題を解く際、本文に線を引くことは基本中の基本です。しかし、「なんとなく」線を引いているお子さんがとても多いのが実情です。

「ここ、大事そうだから」「先生が引けって言ったから」という感覚だけで線を引いていませんか? 実はこの「なんとなく」が、国語の成績が伸び悩む大きな原因になっているのです。

感覚だけだと伸び悩む理由

「なんとなく」線を引く学習スタイルには、大きな問題があります。

再現性がない

感覚に頼った線引きは、たまたま当たることはあっても、安定して正解できません。調子が良い時は解けるけれど、悪い時は全く解けない。このムラが生じるのは、明確な基準がないからです。

応用が利かない

「なんとなく」では、初めて見るタイプの文章や難しい文章に出会った時に対応できません。基準がないため、どこに注目すればよいのか分からなくなってしまうのです。

成長が止まる

最も問題なのは、感覚だけでは成長のサイクルが回らないことです。なぜ正解できたのか、なぜ間違えたのかが分からなければ、次に活かすことができません。結果として、いつまでも同じレベルで足踏みすることになります。

理由を言えるようになると読解力が安定する

では、どうすれば「なんとなく」から脱却できるのでしょうか。答えはシンプルです。線を引く理由を明確に言えるようになることです。

線を引く主な理由

読解において線を引くべきポイントには、明確な理由があります:

  • 「筆者の主張だから」
    論説文では、筆者が最も伝えたいことに線を引く。「〜べきだ」「〜と考える」などの表現に注目
  • 「対比構造だから」
    「しかし」「一方」などの接続詞の後や、AとBを比較している箇所に線を引く
  • 「心情の変化だから」
    物語文では、登場人物の気持ちが変わった箇所に線を引く
  • 「具体例だから」
    抽象的な内容を説明する具体例に線を引く。「例えば」「たとえば」に注目
  • 「理由・根拠だから」
    「なぜなら」「というのも」などの後に続く理由説明に線を引く
  • 「結論だから」
    「つまり」「このように」などでまとめられた結論部分に線を引く

理由が言えると何が変わるか

線を引く理由を明確に言えるようになると、読解力が一気に安定します。

安定した得点が取れる: 明確な基準があるので、どんな文章でも同じように対応できます。調子の波がなくなり、安定して点数が取れるようになります。

難しい文章にも対応できる: 「ここは対比構造だな」「これは筆者の主張だな」と分析できるので、初見の難しい文章でも戸惑わずに読み進められます。

自分で改善できる: 間違えた時に「対比構造を見落としていた」「筆者の主張を読み間違えた」と原因が分かるので、次に活かせます。

答え合わせより大事なこと

多くのお子さんは、問題を解いた後、答え合わせをして丸か×かを確認したら終わりにしてしまいます。しかし、本当に大切なのは答え合わせより、自分の思考プロセスの可視化です。

思考プロセスの可視化とは

問題を解く際に、自分がどう考えたのかを明確にすることです:

  • 「この部分に線を引いたのは、筆者の主張だと判断したから」
  • 「この選択肢を選んだのは、本文の○行目の内容と一致するから」
  • 「この選択肢を消去したのは、対比構造が本文と逆になっているから」

このように、自分の判断の根拠を言葉にすることが思考プロセスの可視化です。

可視化することのメリット

正解の時: なぜ正解できたのかが明確になるので、その方法を他の問題でも再現できます。

不正解の時: どこで判断を間違えたのかが明確になるので、ピンポイントで修正できます。「対比構造を見落としていた」と分かれば、次からは対比に注意するようになります。

つまり、思考プロセスを可視化することで、成長のサイクルが回り始めるのです。

今日から始められる実践方法

「なんとなく」から脱却するために、今日から次のことを始めてみましょう:

1. 線を引いたら理由をメモする

本文に線を引く際、その横に簡単に理由をメモしましょう。「主張」「対比」「心情」など、一言で構いません。これだけで、自分が何に注目しているのかが明確になります。

2. 選択肢を選んだ理由を言語化する

選択肢問題で答えを選んだら、「なぜこれが正解だと思ったのか」を必ず言葉にしましょう。親御さんや先生に説明するつもりで考えると良いでしょう。

3. 間違えた問題は「どこで」間違えたか分析する

不正解だった問題は、解答を見る前に、まず自分の思考プロセスを振り返りましょう:

  • 線を引くべき箇所を見落としていなかったか
  • 線を引く理由を間違えていなかったか
  • 選択肢の判断基準が適切だったか

この分析があってこそ、解答解説が生きてきます。

4. 解説を読む時は「理由」に注目する

問題集や模試の解説を読む時、答えだけでなく、「なぜその答えになるのか」という理由の部分をしっかり読みましょう。そこに、線を引くべきポイントや判断基準が書かれています。

まとめ

国語の読解で「なんとなく」線を引いていると:

  • 再現性がなく、成績が安定しない
  • 難しい文章に対応できない
  • 成長が止まってしまう

線を引く理由を明確に言えるようになると:

  • 読解力が一気に安定する
  • どんな文章でも対応できる
  • 自分で改善できるようになる

答え合わせより大切なのは、自分の思考プロセスの可視化です。「なぜこの線を引いたのか」「なぜこの選択肢を選んだのか」を常に言語化する習慣をつけましょう。

この習慣こそが、国語力を飛躍的に伸ばす鍵となります。今日から、ぜひ実践してみてください!


小島一浩

小島 一浩Kojima Kazuhiro

早稲田大学法学部を卒業後、塾講師としての道を歩みはじめ、市進学院やサピックスにて中学受験指導に携わってきました。講師歴は20年以上にわたり、御三家をはじめとする最難関校から中堅校まで、幅広いレベルの受験生を指導しております。

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