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慶應義塾中等部 国語入試問題の出題傾向分析

入試傾向

2025.11.02

慶應義塾中等部 国語入試問題の出題傾向分析

慶應義塾中等部 国語入試の出題傾向と対策を徹底分析

東京都港区三田にある慶應義塾大学附属の共学校、慶應義塾中等部。1947年創立、福沢諭吉の「独立自尊」の精神を受け継ぎ、「気品の泉源、智徳の模範」となる人材育成を目指す名門校です。

この記事では、慶應義塾中等部の国語入試の出題傾向を詳しく分析し、合格のための具体的な対策をご紹介します。

慶應義塾中等部 国語の基本情報

試験概要

  • 試験時間:45分
  • 配点:100点満点
  • 大問数:4〜6題(近年は大問6題が主流)
  • 総解答数:30〜45問(年度によって変動、近年は減少傾向)
  • 合格目標点:男子75〜80点、女子80〜85点

出題構成

  • 大問1〜2:読解問題(物語文・随筆・論説文)
  • 大問3〜6:知識問題(漢字・文学史・俳句・慣用句など)

解答形式の特徴

  • 選択肢問題が中心(記号選択)
  • 記述問題は例年1問程度(15〜30字程度の短い記述)
  • 抜き出し問題も出題される

最大の特徴①:「教養としての国語」を問う知識問題

慶應義塾中等部の国語で最も特徴的なのが、知識問題の配点が全体の約40〜50%を占めることです。

知識問題の出題範囲

他校では見られないユニークな問題が出題されます:

  • 漢字の読み書き:20問程度(単純な漢字力というより、語彙力・教養を問う)
  • 文学史:日本文学全般+海外の児童文学
  • 俳句・短歌:実際に俳句を作る問題も出題
  • 手紙文:実用的な手紙の書き方(頭語から結語まで)
  • 慣用句・ことわざ
  • 時事問題:大河ドラマ、ベストセラーなど
  • 外来語・略語
  • 数詞
  • しりとり
  • 芝居のせりふ

「教養」が重視される理由

慶應義塾中等部が求めるのは、社会常識を持つ、広い意味での国語力です。塾で習うレベルの知識では全く物足りません。日常生活の中で、多くのことに興味を持ち、体験することが重要です。

最大の特徴②:俳句創作問題

慶應義塾中等部の国語で特に注目すべきが、「俳句をつくりなさい」という俳句創作の問題です。

俳句創作問題の傾向

  • 2022年度、2023年度と連続で出題
  • 単なる知識の整理だけではなく、評論、鑑賞、句作に至るまで親しんでいることが求められる
  • 教養として身についているレベルが必要

俳句創作問題の対策

いきなりでは対応できないため、事前に演習を交えながら準備しておくことが必須です。

俳句の基礎知識

  • 形式:5・7・5の17音
  • 季語:必ず季語を入れる
  • 切れ字:「や」「かな」「けり」など
  • 体言止め:名詞で終える

具体的な練習方法

  1. 季語を覚える:春夏秋冬それぞれ20個ずつ
  2. 実際に作ってみる:週に1句は自分で俳句を作る
  3. 名句を鑑賞する:芭蕉、蕪村、一茶などの有名な句を読む
  4. 歳時記を活用:子ども向けの歳時記を常備する

最大の特徴③:文学史の徹底対策が必須

慶應義塾中等部では、文学史がかなり高い頻度で出題されています。

文学史の出題範囲

  • 日本文学:近代以降に限られず、文学史全般から出題
  • 海外文学:小学生でも読む可能性のある児童文学の範囲
  • 時事的な視点:大河ドラマ、ベストセラーなどの知識

求められる知識レベル

作品名や著者名を暗記するだけでは不十分です。作品の内容や登場人物など、踏み込んだ勉強が必須です。

例えば:

  • 「走れメロス」の主人公メロスがどんな人物か
  • 「坊ちゃん」の舞台はどこか
  • 「窓ぎわのトットちゃん」はどんな学校の話か

文学史対策のポイント

  • 『原色シグマ新国語便覧』(文英堂)を常備:事あるごとに閲覧する習慣をつける
  • 実際に作品を読む:名作は実際に読んで内容を理解する
  • 登場人物を把握:主要な登場人物の名前と特徴を覚える
  • 時代背景を理解:作品が書かれた時代の特徴を知る

最大の特徴④:福沢諭吉に関する知識

慶應義塾中等部の入試は、慶應義塾の「塾員」となるための審査でもあります。そのため、福沢諭吉についての知識は前提となります。

覚えておくべき福沢諭吉の知識

主要な著作

  • 『学問のすゝめ』:「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
  • 『西洋事情』:西洋文明を紹介
  • 『文明論之概略』:文明の発展について論じる
  • 『福翁自伝』:自伝文学の傑作

福沢諭吉の生涯

  • 1835年(天保5年)大阪生まれ
  • 1858年、江戸で蘭学塾を開く(慶應義塾の始まり)
  • 1860年、咸臨丸でアメリカへ
  • 1868年、慶應義塾と命名
  • 1901年(明治34年)没

慶應義塾の理念

  • 独立自尊:他に頼らず、自分の力で判断し行動する
  • 気品の泉源、智徳の模範:社会の先導者となる人材を育てる

読解問題の特徴

文章の種類

読解問題は、前半に2題出題されます:

  • 物語文
  • 随筆
  • 論説文
  • 脚本:まれに出題される

設問の特徴

  • 選択肢問題が中心:言葉の感覚、語句知識を問うものが多い
  • 内容正誤問題:本文の内容と合致するものを選ぶ
  • 記述問題:15〜30字程度の短い記述(例年1問程度)

読解問題の難度

物語文では、登場人物の複雑な心情の流れを答えさせるような問題は少なく、選択肢も区別しやすいものが多いです。

ただし、「教養」的要素が重視されているため、言葉の知識の有無を問うだけでなく、その文章の中での使われ方と的確に結びつける力が問われます。

時間配分の戦略

45分という試験時間で、大問6題、総解答数30〜45問を解く。スピードと正確性が求められます。

推奨される時間配分

  • 知識問題(大問3〜6):10〜15分
  • 読解問題(大問1):13〜15分
  • 読解問題(大問2):13〜15分
  • 見直し:2〜3分

解答順序の戦略

パターン①:知識問題を先に解く(推奨)

確実に得点できる知識問題を最初に片付けることで、精神的な余裕が生まれます。また、時間切れで知識問題が白紙になるリスクを避けられます。

パターン②:前から順番に解く

大問1→大問2→…の順で解く、最もオーソドックスな方法です。問題の流れに沿って解けるので、混乱しにくいメリットがあります。

時間配分のコツ

  • 知識問題は悩まない:分からない問題は飛ばして、読解問題に時間を使う
  • 選択肢は素早く絞る:明らかな誤りを消去して判断
  • ケアレスミスに注意:解答しやすい問題も多いが、落とすと致命的

合格点を取るための得点戦略

2つのポイント

慶應義塾中等部の国語で合格点を超えるためのポイントは大きく2つです。

  1. 前半の読解問題でできるだけ高得点を取る:ここで失敗すると挽回が難しい
  2. 後半の知識問題で点数を積み上げる:文学史、俳句、漢字などで確実に得点

目標点の内訳

合格目標点(男子75〜80点、女子80〜85点)を取るための理想的な配点は:

  • 読解問題:8割以上(約40〜50点)
  • 知識問題:7〜8割(約30〜40点)

確実に得点すべき問題

  1. 基本的な漢字:難しい漢字は捨ててもよいが、基本は確実に
  2. 文学史の有名作品:夏目漱石、芥川龍之介など定番は必須
  3. 読解の選択肢問題:区別しやすい選択肢は確実に正解する

差がつく問題

  • 俳句創作:事前に対策していないと全く解けない
  • マニアックな文学史:深い知識が必要
  • 時事的な知識問題:日頃からアンテナを張っているか

過去問演習の進め方

いつから始めるべきか

慶應義塾中等部を志望するなら、夏休み明けの9月から過去問演習を開始することをおすすめします。

特に俳句創作、文学史、手紙文など、独特の出題形式に慣れるには時間がかかります。

何年分解くべきか

最低7年分、できれば10年分を解きましょう。慶應義塾中等部の特色を体感するには、多くの年度に触れることが重要です。

過去問の効果的な使い方

  1. 本番と同じ時間で解く:45分を計り、緊張感を持って取り組む
  2. 知識問題のパターンを把握:どんな形式で出題されるか確認
  3. 俳句創作問題を集中練習:過去の俳句創作問題を全て解く
  4. 文学史を整理:過去問に出た作品・作家をリスト化
  5. 福沢諭吉関連をチェック:どんな形で出題されるか確認

日頃の学習で意識すべきこと

読書習慣の重要性

慶應義塾中等部が求める「言葉の感覚」を養うには、普段から文字に触れる時間を多く持つことが重要です。

  • 幅広いジャンルの読書
  • 文学作品を中心に
  • 古典も読んでみる

「言葉に対するアンテナ」を高める

家庭内で言葉の使い方に注意をしておくことが有効です。

  • 正しい日本語を使う習慣
  • 分からない言葉はその場で調べる
  • 季節の行事や年中行事に触れる
  • 礼儀作法を身につける

教養を広げる具体策

  • 国語便覧を活用:『原色シグマ新国語便覧』を常備
  • 歳時記を読む:子ども向けの歳時記で季語を学ぶ
  • 年中行事や礼儀作法の本:日本文化の豊かさを味わう
  • ニュースに触れる:大河ドラマ、ベストセラーなど時事的な話題をチェック

他校の慶應系列校の過去問も活用

慶應義塾系列の他の2校(普通部・湘南藤沢)も、語句知識を幅広く求めている点で共通しています。

慶應普通部との比較

  • 共通点:語句知識の重視、教養的要素
  • 違い:普通部は読解・知能・知識の3要素のバランスが取れた出題
  • 活用法:韻文問題、語句知識の備えに普通部の過去問が使える

慶應湘南藤沢との比較

  • 共通点:幅広い教養を求める
  • 違い:湘南藤沢は長文読解が中心

併願する場合の過去問活用

慶應義塾系を併願する場合は、3校の過去問の活用できる部分は活用していきましょう。心情を問う問題の読みの深さは、3校でだいたい同じくらいの水準です。

やってはいけないこと

  • 俳句創作を無視する:事前練習なしでは全く書けない
  • 文学史を暗記だけで済ます:作品の内容まで理解が必要
  • 福沢諭吉を知らない:慶應義塾の塾員になるのに創設者を知らないのは致命的
  • 知識問題を後回しにする:時間切れで確実な得点を逃すリスク
  • ケアレスミスをする:解答しやすい問題で落とすと致命的

まとめ:慶應義塾中等部国語攻略のポイント

慶應義塾中等部の国語入試を攻略するには、以下の7つのポイントを押さえましょう:

  1. 知識問題が配点の40〜50%:文学史、俳句、漢字などで確実に得点する
  2. 俳句創作の対策は必須:事前に演習を交えて準備する
  3. 文学史は踏み込んだ学習:作品名・著者名だけでなく、内容や登場人物も把握
  4. 福沢諭吉の知識は前提:主要著作、生涯、慶應義塾の理念を理解
  5. 「教養としての国語」:社会常識、日本文化、年中行事などの幅広い知識
  6. 言葉に対するアンテナを高める:家庭内で正しい日本語を使う習慣
  7. スピードと正確性:45分で30〜45問を解く処理能力

慶應義塾中等部の国語は、他校では見られないユニークな問題、意表を突いた問題が出されるのが特徴です。塾で習うレベルの知識では全く物足りません。

日常生活の中で、多くのことに興味を持ち、体験することが重要です。受験参考書のみならず、国語便覧、歳時記、年中行事や礼儀作法に関する書籍、古典などに幅広く触れて、日本語や日本文化の豊かさを味わい、楽しみながら身につけましょう。

また、慶應義塾の「塾員」となるための審査という意識を持ち、福沢諭吉と慶應義塾の歴史についてもしっかり学んでおくことが大切です。

日々の学習の積み重ねと、的確な過去問演習で、ぜひ慶應義塾中等部合格を勝ち取ってください!


小島一浩

小島 一浩Kojima Kazuhiro

早稲田大学法学部を卒業後、塾講師としての道を歩みはじめ、市進学院やサピックスにて中学受験指導に携わってきました。講師歴は20年以上にわたり、御三家をはじめとする最難関校から中堅校まで、幅広いレベルの受験生を指導しております。

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