「うちの子、本は読んでるのに国語のテストが全然ダメなんです」
「記述問題になると、何を書けばいいのか分からずペンが止まってしまう……」
中学受験の指導現場で、最も多く受ける相談がこの「国語の成績不振」です。算数と違い、勉強した成果が見えにくいため、親子ともに焦りを感じやすい教科でもあります。
しかし、中学受験の国語は、決して「生まれ持ったセンス」を問うものではありません。むしろ、「論理的なパズル」に近い極めて客観的な競技です。この記事では、国語の偏差値を55、60と引き上げていくために必要な「読解の型」と「家庭での学習法」を徹底解説します。
【この記事のトピック】
- なぜ「本好き」の子が国語で苦戦するのか?
- 文章を客観的に解剖する「印つけ」の技術
- 「記述の型」をマスターして部分点を稼ぐ方法
- 親ができる最高のサポート:語彙の日常化
1. 「読書」と「入試読解」は全く別物である
よくある誤解が「本を読めば国語ができるようになる」というものです。もちろん、読書習慣はプラスになりますが、入試においては逆効果になることすらあります。
「主観」で読むか、「客観」で読むか
読書は、自分の経験や感情を重ねて楽しむ「主観的」な行為です。しかし、入試国語は「筆者が言いたいこと」や「登場人物の心情」を、本文の根拠に基づいて正確にトレースする「客観的」な作業です。
「自分だったらこう思う」という主観が入った瞬間に、国語の選択肢は間違った方向へ導かれます。まずは「本文に書いてあることだけが正義」というマインドセットを親子で共有しましょう。
2. 偏差値を押し上げる「印つけ(記号読解)」の習慣
偏差値が伸び悩む子の多くは、真っ白な問題文をただ眺めています。難関校の複雑な文章を整理するには、手を動かすことが不可欠です。
| 注目するポイント | つけるべき印 | 理由 |
|---|---|---|
| 逆接の接続詞(しかし、だが) | 逆三角形(▽)※なんでも良いですが | 直後に筆者の主張が来やすい |
| 定義・換言(つまり、要するに) | =(イコール) | 難しい言葉を言い換えている重要箇所 |
| 心情語・比喩表現 | 波線(~~) | 記述問題の解答の核になる |
この「印つけ」が習慣化すると、見直しのスピードが劇的に上がります。設問を読んでから「どこに書いてあったっけ?」と探す時間を削減できるからです。
3. 記述問題を攻略する「3ステップ構成術」
「何を書けばいいかわからない」という悩みは、思考のプロセスを定型化することで解消できます。記述解答は、以下の3つのパーツを組み合わせるパズルだと教えましょう。
- 【原因・きっかけ】 何が起きて(本文から抽出)
- 【心情・状態】 どう感じて(プラス・マイナスの整理)
- 【結果・反応】 どうなったか(行動や結末)
例:「お父さんに叱られた(原因)、申し訳ないと思った(心情)、だから自ら進んで掃除をした(結果)」
最初は短文で構いません。この3ステップを意識して書く練習を積めば、難関校の長い記述でも、必要な要素を漏らさず得点(部分点)をもぎ取れるようになります。
4. 【親の役割】辞書を引かせるより「生きた言葉」を
語彙力不足を補うために、単語帳を暗記させるのは苦行です。言葉は「使われる場面」とセットで記憶に残ります。
- ニュースを要約させる: 「今日のニュース、一言で言うとどういうこと?」と聞く。
- 比喩表現を日常に取り入れる: 「今のあなたの態度は、まさに『慇懃無礼(いんぎんぶれい)』だね」など、あえて少し難しい言葉を会話に混ぜる。
親が楽しそうに言葉を使っている姿を見せることで、子供の語彙アンテナは驚くほど鋭くなります。
まとめ:国語は「技術」で解決できる
国語の成績アップには時間がかかります。しかし、一度身についた「読み方」のスキルは、一生モノの武器になります。また、国語力が上がれば、算数の文章題や社会の資料読解の理解度も底上げされます。
まずは、模試の解き直しで「なぜ自分の答えが間違っていて、なぜ解答の根拠がそこにあるのか」を1問だけで良いので深く納得するまで親子で話し合ってみてください。その一歩が、合格への大きな一歩になります。