比喩(たとえ)を記述で外さない!
「一語一語・解体翻訳術」で部分点を確実にもぎ取る方法
「なんとなく説明」を卒業すれば、偏差値は上がる。
中学受験の国語、特に難関校の記述問題では「傍線部の比喩を分かりやすく言い換えなさい」という設問が頻出します。しかし、多くの受験生が「なんとなくこんな感じ」と、フワッとした解答を書いてしまい、致命的な失点を重ねています。
比喩とは、筆者が伝えたい強烈なメッセージを「別の衣」で包んだものです。その衣を剥がし、中身を取り出すには、センスではなく「解体と置換」の技術が必要です。今回は、その具体的なステップを解説します。
1. なぜ「雰囲気」で書くと×になるのか?
国語の採点基準は、シビアな「加点方式」です。比喩を一塊の文章として捉えてしまうと、採点ポイントとなるキーワードを漏らしやすくなります。
たとえば、「言葉が鋭い刃物のように刺さった」という表現を「ひどいことを言われて傷ついた」と訳すだけでは、偏差値50止まりです。なぜなら、「鋭い」「刃物」「刺さる」というそれぞれの言葉に含まれるニュアンスが、一つも網羅されていないからです。
2. 実践トレーニング:比喩を「パズル」として解体する
たとえの例を変えて考えてみましょう。物語文の重要な局面で、次のような一文があったとします。
「彼女の心に、細い杭(くい)が一本打ち込まれた」
これを分解せず、一度に言い換えようとすると「嫌な予感がした」程度で終わってしまいます。そこで、以下のように「1語=1パーツ」でバラバラにするのがプロの解法です。
| 比喩のパーツ | 記述で使うべき「置換語」 |
|---|---|
| ①「細い」 | 些細な、わずかな、しかし見過ごせない |
| ②「杭(くい)」 | 不信感、違和感、忘れることのできない疑念 |
| ③「打ち込まれた」 | 深く刻まれた、消えることなく残り続けた |
【完成した言い換え】
「それまでは気に留めていなかった些細な出来事が、消えることのない強い不信感として彼女の心に深く刻まれたということ。」
3. 家庭学習での「魔法の問いかけ」
この解体技術を身につけるために、保護者の方ができる最高のアドバイスは「この言葉、別の言い方だと何かな?」と細かく刻んで聞くことです。
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「言葉の置換」を促す:
「心に」を「胸の内に」とするだけではなく、物語の文脈から「プライドに」「罪悪感に」と言い換えられないか考えさせます。 -
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「修飾語」を無視しない:
「細い」や「一気に」などの小さな修飾語にこそ、筆者が込めた「程度」や「速度」のヒントが隠れています。
4. 「翻訳家の視点」を持つことで、国語はもっと楽しくなる
比喩を言い換えることは、いわば「筆者の特殊な言語を、僕らの日常の言葉に翻訳する」作業です。これができるようになると、子供は文章を読む際に「あ、筆者はここを強調したいから、あえて比喩を使っているんだな」というメタ的な視点が持てるようになります。
この視点こそが、難関校が求める「論理的読解力」の正体です。
まとめ:1点にこだわる「解体癖」を
国語の記述は、決して「書く能力」だけではありません。どれだけ細かく「言葉を噛み砕けるか」の勝負です。まずは塾のテキストの一文から、親子で「比喩の解体パズル」を楽しんでみてください。その積み重ねが、入試本番での圧倒的な記述力に繋がります。